食品添加物がよくわかる検索辞典

食品添加物について、概略をわかりやすくまとめています。

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食品表示をチェックする習慣を身につけて、安全・安心な食生活を送りましょう。

 食料品を購入するときには、必ず「食品表示」をチェックするのですが、そこに記載されている添加物の種類の多さには、「なんでこんなに入れなきゃならないの?」と、ため息が出ることがよくあります。

 「これは良い」「これなら・・」と思えるものは5つにひとつ?10にひとつ?くらいかな。
 
 とにかく、毎日口に入れる食物については、その正体を知っていないと、特に子どもでは将来重大な問題が起こってくる可能性があります。 
 ぜひ確認する習慣を身に着けて、体に良くないものは食べないようにしましょう。

食品添加物とは

 
 加工食品の製造過程で、様々な目的で使われる物質が、食品添加物です。

 食品添加物は、
「食品の製造の過程において、又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用するもの」(食品衛生法第4条)と定義され、

 本来の「食品」とは明確に区別されています。

 また、加工食品には、使用している添加物の明示が義務付けられています。

 

加工食品の表示について

 市販されている加工食品の内、缶詰やパケージ包装された加工食品には、

「名称」「原材料名(食品添加物の表示・アレルギー物質を含む食品の表示・遺伝子組み換え食品かどうかの表示なども含む)」「内

容量」「賞味or消費期限」「保存方法」「製造者及び販売者」等

「食品表示」が、法律によって義務付けられています。

 また、すべての食品に義務付けられてはいませんが、「栄養成分表示」として、その加工食品に含まれるエネルギー量や栄養素量が表示されることも、最近では当たり前のようになってきています。

 

 食品の多くはそのままでは長期保存が難しいので、品質保持・有効利用・安定供給を目的として、いろいろな方法で食品を加工・処理したものが「加工食品」です。
 
 今では、栄養強化を図ったり、色・香り・味・食感の向上などで嗜好性を高めたり、簡便性を目的として製造されることも多くなっています。  
 この加工食品の製造過程で、様々な目的で使われる物質が食品添加物です。

 毎日口にする食品はできれば天然・自然の産物のみにしたいところですが、実際には、たくさんの「加工食品」も口にしているのが現状です。


加工食品の問題点
 加工食品の種類は、水産練り製品・肉加工品・乳加工品・野菜加工品・果実加工品・油脂食品・嗜好食品・調味料・菓子類・冷凍食品・レトルト食品・缶詰食品・瓶詰食品・インスタント食品等、多岐にわたります。

 殊に最近では、時間的な問題や経済的な問題などから、冷凍食品・レトルト食品・インスタント食品等、調理済み・半調理済みの食品の利用が増える傾向があります。

 これらの加工食品に使われている食品添加物については、言うまでもなく、問題意識を持って、正しく知っておく必要があるということですが、

 食品添加物云々の前に、加工食品では、主要原材料の出処や経歴(生産履歴)がわからないという問題があります。

 これは下記の「キャリーオーバー」にも通じることですが、

 例えば精肉の場合ですと、その家畜の品種や、産地、どのような飼料を食べていたかなどの履歴は、良心的な業者でしたら、最初から表記してあるか、聞けば教えてくれると思います。

 ところが、加工食品ではその手の情報はほとんど得られないでしょう。消費者にはそこまでの選択肢は与えられていないのです。

 この点は意外と落とし穴で、食物アレルギーについて見ると、肉そのものというよりも、その家畜が食肉になるまでに食べていた飼料に含まれていた添加物等に反応してアレルギーが起こっているということも多いのです。

 因みに、ほとんどの犬や猫は、専ら加工食品であるドッグフードやキャットフードを与えられていますが、よほど気をつけて選んであげないと、人よりも何倍も大きな影響を受けるということも覚えておいてくださいね。


 加工食品は、その製造・加工工程上での必然性や保存性の面から、どうしても使わざるを得ない食品添加物もあるでしょうし、決して全てを否定するわけではありませんが、

 別に必要ないのではと思われる、食欲をそそる食感や鮮やかな色を求めて、過剰とも言える添加物の使用が当たり前になっている現状を見ますと、自己防衛の必要性をいつも感じている次第です。

 

認可されている食品添加物

厚生労働省が認可した食品添加物は、2015年12月現在で814品目あります(天然香料を除く)。

これらの添加物は「指定添加物(合成添加物)」「既存添加物(天然添加物)」に大別されます。

この他に「一般飲食物添加物」「天然香料基原物質」という括りがあります。

 

  食品添加物には、その物質の特性から、用途が限られるものと、複数の用途で使用されるものがあります。
 
 食品添加物の一覧表などでは、「主要用途」が併記されていますが、使用基準で用途や使用できる食品に制限のあるもの(用途名付き添加物)を除けば、どのような用途で使用しても構わないことになっています。

食品添加物の 特性による分類
1.用途名を併記しなければならない食品添加物ー用途名付き添加物(甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤)

2.一括名表示が可能な食品添加物ー一括名表示添加物(酸味料、調味料、香料、PH調整剤、膨張剤、乳化剤、イーストフード、かんすい、ガムベース、チューインガム軟化剤、豆腐用凝固剤、苦味剤、光沢剤、酵素)

3.その他の食品添加物ー製造用剤等(結着剤、消泡剤、抽出溶剤、日持ち向上剤、プロピレングリコール、離型剤、ろ過助剤、栄養強化剤、香辛料抽出物、殺菌料、抽出溶剤 他)

 

 

ぜひ知っておくべき注意事項


用途名付き添加物

 食品添加物は、原則として物質名の表示が義務付けられていますが、その中でも比較的毒性が強いと思われる要注意物質が多く属する用途別グループの食品添加物には 、
[酸化防止剤(BHA)] のように、用途名も併記しなければならないことになっています。

 甘味料、着色料、保存料、増粘剤・安定剤・ゲル化剤・糊料、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防黴剤の8つの用途に使われている添加物が対象になります。

一括名表示
 添加物は個別の物質名表記が原則ですが、物質名ではなく、一括名(用途名と同等)での表示が認められているものが多数あります。

 酸味料、調味料、香料、PH調整剤、膨張剤、乳化剤、イーストフード、かんすい、ガムベース、チューインガム軟化剤、豆腐用凝固剤又は凝固剤、苦味剤、光沢剤、酵素

 一括名表示の問題は、具体的に何が使われているのか全くわからない点です。
 救いといえば、上の「用途名付き添加物」に比較して、全般的に安全な物質が多いということでしょうか。

表示免除

添加物の中には、使っていても、表示しなくてもよいものがあります。

1.栄養強化剤  食品の栄養を高める目的で使われるもので、ビタミン類、アミノ酸類、ミネラル類が該当します。身体にとってプラスになり、安全性も高いという認識から免除されています。
  但し、日本農林規格では、食品によっては、たとえ栄養強化の目的でも表示を義務付けているものがあります。

2.加工助剤  食品の製造過程で使われる添加物で、最終的に製品に残留しないように、もしくは残ったとしても極微量で食品の成分に影響を与えないレベルまで、中和等の手段により処理できるもの。

  これには、タンパク質の分解などに使われる塩酸や硫酸、殺菌に使われる次亜塩素酸Naなどが該当します。

3.キャリーオーバー  原材料に元々含まれている添加物のことです。

  例えば、原料として醤油が使われている食品の場合、その醤油の製造段階でこてこてに添加物が加えられていたとしても、法的には「醤油」と表示しておくだけで良いのです。

   また、練り製品の原料の魚のすり身の大半は船上でつくられ、その際、品質保持や増量のためにリン酸塩やソルビットが添加されるのですが、これらの添加物も、使用した食品には影響が出ないとの認識から、表示は免除されます。

  この「キャリーオーバー」は曲者で、該当するケースはたくさんあります。

食品表示自体をしなくてもよいケース
1.店頭でバラ売りされている食品 パン、ケーキ、漬物など

2.対面で量り売りされている食品 

3.店内で製造・調理された食品 スーパーで調理されたれた惣菜、飲食店で出される料理

食品添加物のグループリスト

 ここでは、添加物の主要な用途別に、代表的なものを簡単に解説しておきます。
 なお、個々の添加物については、検索リストで検索してください。

指定添加物(合成添加物)

 石油製品などを原料として化学合成された物質。防カビ剤のOPPのような「自然界には存在しない物質」と、L-アスコルビン酸(ビタミンC)のような「自然界に存在する物質の化学構造を模して人工的に合成された化学物質」が含まれる。449品目

既存添加物(天然添加物)

 天然に存在する植物や海藻、昆虫、細菌、鉱物などから特定の成分を抽出したものや、またそれを濃縮したもので、人間界で長年使用されてきたもの。365品目

一般飲食物添加物

 私達が普段食べている食品を添加物として使ったり、その食品から特定の成分を抽出して添加物として使うもので、リストアップされていないものでも使える。実質的には食品そのものと言っても良いもの。約100品目

甘味料

 代表的な甘味食品である砂糖は、酵母(イースト)の栄養源になりやすいため、酵母の繁殖による食品の品質劣化を防ぎ保存性を高める目的で、砂糖以外の甘味料が用いられる。
 最近では、糖尿病、肥満、虫歯などの予防のために、砂糖の代替品として添加物が使われることも多くなってきた。

 アスパルテーム,アセスルファムK,D-ソルビトール(ソルビトール、ソルビット),カンゾウ抽出物(カンゾウエキス、グリチルリチン、リコリス抽出物),キシリトール,ステビア(ステビア抽出物、ステビア末、ステビオサイド、レバウディオサイド),サッカリン、サッカリンナトリウム

着色料

 食品にはそれぞれ独自の色があるが、自然の状態の色は、長期にわたって維持することが大変難しいため、加工段階で人為的に色調を調整するために着色料が使われる。
 タール系色素が代表的なものだが、日本人には、派手な色のものよりも、より自然に近い色の食品が好まれ、また紅花やクチナシ、ヨモギなどを食品の着色に使用してきた歴史もあって、天然の着色料も広く使用されている。
 鮮魚介類や食肉、野菜類に着色料を使用すると、品質や鮮度に関して消費者の判断を誤らせるおそれがあり、添加物本来の目的に反するので、これら生鮮食品等に着色料を使用することは禁じられている。

 ウコン色素(クルクミン、ターメリック色素),カロチン色素,アナトー色素(アナトー、カロチノイド、カロチノイド色素、カロテノイド、カロテノイド色素),クチナシ、クチナシ色素,ベニコウジ(紅麹)色素,ベニバナ色素,銅クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム,コチニール色素(カルミン酸色素、カルミン酸、コチニール),カラメル色素,食用タール系色素(食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色40号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用緑色3号、食用青色1号、食用青色2号)

保存料

 保存料は、食品の腐敗や変敗の原因となる微生物の増殖を抑制し、保存性を高める目的で使われる添加物で、微生物を殺すことを目的とした殺菌剤とは異なる。

 ソルビン酸、ソルビン酸カリウム(ソルビン酸K),ポリリジン,プロピオン酸、プロピオン酸カルシウム(プロピオン酸Ca)、プロピオン酸ナトリウム(プロピオン酸Na),安息香酸、安息香酸ナトリウム(安息香酸Na),しらこたん白抽出物(しらこたん白、しらこ分解物、プロタミン、核蛋白)

増粘剤・安定剤・ゲル化剤・糊料

 増粘安定剤とは「水に溶解又は分散して粘稠性を生じる高分子物質」のことで、糊料とも呼ばれる。
増粘安定剤は使途によって、少量で高い粘性を示す場合には「増粘剤」、液体のものをゼリー状に固める作用(ゲル化)を目的として使う場合には「ゲル化剤」、粘性を高めて食品成分を均一に安定させる効果を目的として使う場合は「安定剤」と呼んで区別される。

 ペクチン,キサンタンガム,グァーガム,カラギーナン(カラギナン),カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na),カルボキシメチルセルロースカルシウム(CMC-Ca)

酸化防止剤

 食品は時間の経過とともに空気中の酸素によって酸化され、褐変や退色、栄養価の低下がおこり、特に油脂類が酸化されると色や風味が悪くなるばかりでなく、酸化によって生じた過酸化物による消化器障害を引き起こすこともある。
 酸化防止剤は、このような空気中の酸素によって起こる、食品の酸化による品質の低下を防止する目的で使われる食品添加物で、食品成分に代わって自身が酸化されることによって、食品の酸化を防ぐ作用を示す。

 ビタミンC(アスコルビン酸),ビタミンE(トコフェロール),カテキン,BHA,BHT

発色剤

 動物性食品中に含まれる赤血球の色素(ヘモグロビン)や筋肉細胞の色素(ミオグロビン)と結合して、加熱しても安定した赤色を呈すので、ハムやソーセージ、たらこなどの色付けに使われる。
 生鮮食肉や鮮魚介類に使用することは禁止されている。

 亜硝酸ナトリウム(亜硝酸Na),硝酸カリウム(硝酸K),硝酸ナトリウム(硝酸Na)

漂白剤

 原料などに含まれる好ましくない色素成分や着色物質を無色にして白くしたり、きれいで鮮明な色調に整える目的で使用される。
 酸素の酸化作用で食品中の色素を分解して脱色する酸化漂白剤(ex.亜塩素酸Na)と、分解して生じる亜硫酸で色素を還元して漂白する還元漂白剤(ex.亜硫酸Na)がある。
 ゴマ、豆類及び野菜を漂白する目的で使用することは、その品質、鮮度等に関し、消費者の判断を誤らせるおそれがあるため禁止されている。

 亜塩素酸ナトリウム,亜硫酸ナトリウム,次亜硫酸Na,二酸化硫黄,ピロ亜硫酸K,ピロ亜硫酸Na

防黴剤(防カビ剤

 外国産のグレープフルーツやオレンジ、レモンなどの柑橘類やバナナなどは、長時間の輸送貯蔵中のカビの発生を防止する目的で、収穫後に農薬が散布される(ポストハーベスト農薬)ことが多いが、我が国では添加物として規制している。
 防黴剤が使用された柑橘類やバナナなどを販売する際には、バラ売りであっても値札や品名札あるいは陳列棚などに、使用した物質名を分かりやすく表示するように決められてる。

 イマザリル,オルトフェニルフェノール(OPP),オルトフェニルフェノールナトリウム(OPP-Na),チアベンダゾール(TBZ),フルジオキソニル,ジフェニル

乳化剤

 水と油のような、本来混じり合わないものの境界面で働いて、均一な状態を作る作用を持つものを乳化剤という。
 マヨネーズは、卵黄中に含まれるレシチンが乳化剤として働いて、サラダ油が卵や酢の中に均一に混ざっている食品。
 また、食品成分の境界面の性質を変える作用を利用して、ケーキなどの起泡剤、焼き菓子などの型離れをよくする離型剤、デンプンの食感劣化を防ぐ老化防止剤など、様々な目的で使用される。

 グリセリン脂肪酸エステル(グリセリンエステル),レシチン(植物レシチン、卵黄レシチン),サポニン,ショ糖脂肪酸エステル(ショ糖エステル)

酸味料

 酸味料は、食品に酸味を付けたり、酸味の調整や味の調和のために使用される。

 クエン酸,酒石酸,乳酸

苦味料

 ビール、茶、コーヒーなどに必須の苦味ー苦味料は、これらに無くてはならない独特の苦味をつける目的で使われる添加物である。
 また、適度の苦味は胃を刺激して、胃酸や消化酵素の分泌を促す作用があるので、このような用途でも使用される。
 苦味料はすべて、コーヒー豆やカカオ、グレープフルーツの皮などの、苦味を持つ食品から抽出される天然の物質である。

 カフェイン,テオブロミン,ナリンジン,ニガヨモギ抽出物 等多種

製造用剤

 加工食品に使用される添加物の内で、その機能、用途が多岐にわたるため、統一的な用途名によって分類することが難しい添加物を便宜上ひとまとめにした分類。

 結着剤,消泡剤,抽出溶剤,日持向上剤,プロピレングリコール,離型剤,ろ過助剤

膨張剤

 膨脹剤は、ふくらし粉とかベーキングパウダーとも呼ばれるもので、炭酸ガスやアンモニアガスを発生させて、蒸し菓子や焼き菓子をふっくらと膨脹させるために使用される。

 炭酸水素ナトリウム(重曹、重炭酸Na),グルコノデルタラクトン,硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)

調味料

 調味料といえば、誰でもすぐに砂糖、塩、酢、味噌、醤油、酒、かつお節、昆布などが思い浮かぶと思うが、これらは全て「食品」扱いになっている。
 他方、調味料に分類されるものの中で、グルタミン酸ナトリウムやイノシン酸ナトリウムなどの、化学的に合成されたものは「添加物」として取り扱われている。
その多くは、本来昆布やかつお節の中にある旨味成分を化学的に合成したり、抽出したものである。  添加物としての調味料は、アミノ酸系、核酸系、有機酸系、無機塩系の4グループがあり、表示の際には「調味料」という一括名の後にカッコ書きでこのグループ名を表示する[ex. 調味料(アミノ酸)]ことになっている。

 アミノ酸系,核酸系,有機酸系,無機塩系

光沢剤

 光沢剤は食品からの水分の蒸発を防いだり、逆に湿気から食品を保護するために、食品の表面に皮膜を作ったり、表面を保護して光沢を与える目的で使用される。
 光沢剤には、水に溶けない性質を持つワックスや樹脂が使われている。

 シェラック,ミツロウ,パラフィンワックス

ガムベース

 ガムベースは、チューインガムの基材となる物質の総称で、この基材に糖類、香料、着色料などを加えたものが、チューインガムとなる。

 酢酸ビニル樹脂,ジェルトン,チクルその他多種